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2007年12月24日
Google Map と、生家とのお別れ
Web に測り知れない価値を付加し続けてきたGoogle。
そのGoogleの提供するサービスの一つで、やはり重要欠くべからざる機能の一つにGoogle Mapがある。
全世界の地図のみならず航空写真を提供するサービスだ。
このGoogle Mapに、最近まで、以前住んでいた生家の写真がずっと掲載されていた。
生家は、今を去ること3年くらい前まで両親が住んでいた。
自分もその生家で生を受け、家族とともにささやかな生活を過ごしていた。
自分は独立と結婚で生家を離れた。姉も遠くに結婚して行った。
その生家には両親だけが残り、ひっそりと、しかし幸せに暮らしていた。
両親の生活が変わったのは4年ほど前だ。
その家は借家で、理解のある大家さんが、都会にしてはかなり安い家賃で貸してくれていた。
ただ、安いとは言っても借り始めた当初はそれなりの対価だったそうだ。したがって、何の問題もなく
過ごしている間に物価や地価が上がり、それに応じて家賃が相対的に安くなったというだけのことだ。
その借家が、一帯の土地とともに他の業者に譲渡され、通知が来た。
そしてそれから2、3ヶ月後、退去通告を携えてその業者が両親のところに来るようになったのだ。
事の詳細は書くまい。別の機会で書くことができるかもしれないが、今はその時ではない。
数ヶ月交渉した後、年老いた両親は、住み慣れた家から離れることになった。
その夏は、自分もずっと生家に通って引越の手伝いをし続けた。
両親が引っ越し、落ち着いてから一年くらいたったある日、Google Mapというサービスを知った。
全世界の地図のみならず航空写真まで見ることができるという。
最初は楽しみながらあれこれ見ているうちに、ふと、生家の航空写真を見てみたくなった。
両親から聞いた話では、生家は、両親の立ち退きから数ヵ月後には跡形もなくなっていたらしい。
そのような成り行きは当然理解していたものの、自分は複雑な思いが去来して、生家の跡地には
今でも一度も行ったことがない。
その生家が、航空写真にはどのように写っているか、宇宙の視点から恐る恐る見てみた。
そこには、昔なつかしい瓦屋根の家が残っていた。
そこには、失ったと思っていた生家の息吹が残っていた。
もちろんそれは、Google Mapで使用されている写真と現実の世界とにタイムラグがあるからという
のが理由なのは分かっていた。
しかし、毎日インターネットで当たり前のように最新の情報に接しているのと同じブラウザの画面に
実家の写真が検索結果として表示されているのを見たら、そこには今でも生家があって、自分の
昔からの思い出を抱きながらそこに佇んでいてくれているように感じたのも事実だ。
実家の姿は、その後も Google Map にずっと表示され続けていた。
その姿を見るたびに、自分が確かにそこにいたことを確認し、ほんのちょっぴりだけれど、
安らいだ気持ちになることができた。
今日、ついにGoogle Mapから実家が消えていた。
おそらく新しい航空写真のデータに置き換えたのだろう。そんなことは誰だって分かる。
しかしそこに写っていたのは、自分が見たこともない広大な空き地と、おそらく一時的に
駐車場として使用した際にペイントされた誘導のマークだった。
実家のあった場所には、建物の跡は全くなかった。
両親が実家を離れてから約3年、実家がこの世からすべて消えた。
自分の中で、ささやかに生家の歴史が終わったような気がした。
投稿者 shingo : 2007年12月24日 | コメント (0) | トラックバック